エグゼクティブサマリー
2026年5月現在、日本の住宅ローン金利は変動・固定ともに上昇傾向が続いています。特に固定金利は、長期金利の上昇を受け、多くの金融機関で引き上げが見られます。日銀の金融政策では、2025年12月に政策金利が0.75%に引き上げられ、2026年4月は据え置きとなったものの、6月または7月の追加利上げが有力視されており、変動金利も2026年10月以降に0.25%程度の上昇が予想されます。今後は金利上昇に備えた返済計画と、金利タイプや借り換えの検討が重要となります。
1. 主要銀行(ネット銀行、メガバンク、地方銀行など)の最新金利(変動・固定)の比較・特徴
- 【誰向け?】これから住宅ローンを組む人、現在のローンの金利タイプを見直したい人。
- 【影響度】★★★★★
- 【今すぐできる対策】複数の金融機関の金利情報を比較し、自身の返済計画に合った金利タイプを検討しましょう。
2026年5月現在、日本の住宅ローン金利は変動・固定ともに上昇傾向にあります。特に固定金利は長期金利(10年国債利回り)に連動して引き続き上昇しており、多くの金融機関で引き上げが見られます。一方、変動金利は日銀の政策金利据え置きを受けて、一旦は落ち着いた「踊り場」の状態にあるものの、一部のネット銀行では引き上げも確認されています。
変動金利の動向
メガバンクの変動金利は、2026年5月は4行すべてで前月から据え置かれました。一方で、ネット銀行の一部(SBI新生銀行、イオン銀行、ソニー銀行など)では、4月に据え置いていた金利を5月に引き上げる動きが見られました。
主要銀行の変動金利(新規借入・最優遇金利、2026年5月現在)
- 三菱UFJ銀行:年0.945%
- 三井住友銀行:年1.275%
- みずほ銀行:年1.025%
- りそな銀行:年0.950%
- SBI新生銀行:年0.990%
- PayPay銀行:年0.980%
- auじぶん銀行:年0.930%
- 住信SBIネット銀行:年0.950%
- 楽天銀行:年1.333%
- イオン銀行:年1.13%
ネット銀行はメガバンクと比較して低い金利を設定していることが多いですが、最近では「スマホ・ネット・でんき」とのセット割引など、金利以外の付加価値で競争力を高める動きも見られます。
固定金利の動向
固定金利は、長期金利の上昇に連動し、多くの金融機関で引き上げが続いています。特に10年固定金利やフラット35などの長期系金利は上昇圧力下にあります。
主要銀行の10年固定金利(新規借入・最優遇金利、2026年5月現在)
- 三菱UFJ銀行:年3.150%
- 三井住友銀行:年3.250%
- みずほ銀行:年2.950%
- りそな銀行:年3.435%
- SBI新生銀行:年2.630%
- PayPay銀行:年2.520%
- auじぶん銀行:年2.796%
- 住信SBIネット銀行:年2.619%
- 楽天銀行:年3.527%
- イオン銀行:年3.160%
【フラット35】の金利(2026年5月)
- 最も多い金利(融資率9割以下、借入期間21年以上35年以下):年2.710%
- 最も高い金利(融資率9割以下、借入期間21年以上35年以下):年5.150%
フラット35の金利は、前月(2026年4月)から0.22%上昇しました。
地方銀行の動向
地方銀行もメガバンクの金利動向に追随し、金利の見直しを行っています。対面での相談が可能で、給与振込などの身近な取引で優遇を受けやすいのが特徴です。例えば、香川銀行では変動金利が3.525%〜、固定金利(5年)が3.250%〜(各種引き下げ要件有)となっています。
金利情報は各金融機関の公式サイトで確認することが重要です。
2. 現在の金利市場のトレンド(日銀の動向、債券市場の影響など)
- 【誰向け?】住宅ローンの金利タイプ選択に悩んでいる人、金利の先行きに関心がある人。
- 【影響度】★★★★★
- 【今すぐできる対策】日銀の金融政策決定会合の結果や、経済ニュースを定期的にチェックしましょう。
日本の金利市場は、日本銀行の金融政策と債券市場の動向に大きく影響されています。
日銀の金融政策動向
日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、その後も段階的に政策金利を引き上げています。2025年12月には政策金利を0.50%から0.75%へと引き上げました。2026年4月の金融政策決定会合では政策金利を0.75%に据え置きましたが、9名の政策委員のうち3名が0.25%の利上げを主張するなど、利上げ機運は強まっています。
市場では、2026年6月または7月の会合で追加利上げ(0.75%→1.00%)が実施される可能性が高いと見られています。
債券市場の影響
住宅ローンの固定金利は、主に日本の長期金利(10年国債利回り)に連動して決定されます。近年、日銀の金融政策転換やインフレ動向によって長期金利は上昇傾向にあり、これが固定金利の上昇に直結しています。
2026年5月には、新発10年物国債利回りが一時2.8%まで上昇する場面もありました。これは、市場参加者のインフレ期待の上昇や、原油高、さらには日銀の金融政策が後手に回るとの懸念が背景にあるとされています。
日銀はイールドカーブコントロール政策を廃止しましたが、長期金利が急騰した場合は国債買入れ増額などで対応する方針を示しています。
3. 【今後の予測】今後金利はどのように推移するか(変動・固定それぞれの見通し)
- 【誰向け?】住宅ローンの新規借り入れや借り換えを検討している人、今後の返済計画を立てたい人。
- 【影響度】★★★★☆
- 【今すぐできる対策】金利上昇を想定した返済シミュレーションを行い、家計への影響を把握しておきましょう。
2026年以降も金利は上昇傾向にあると予測されています。
変動金利の見通し
日銀の追加利上げ観測が高まっていることから、変動金利は今後さらに上昇する可能性が高いと見られています。市場では、6月または7月に政策金利が0.75%から1.00%に引き上げられると、多くの銀行が2026年10月に変動金利の基準金利を年0.25%程度引き上げる可能性が高いと予想されています。
政策金利が現在の0.75%から1.5%程度まで引き上げられた場合、変動金利の相場は2%近くになる可能性も指摘されています。
ただし、変動金利は日銀の政策金利とまったく同じ幅で即時に動くわけではなく、銀行ごとの基準金利見直しや金利優遇幅によって影響が異なります。
固定金利の見通し
固定金利の指標となる長期金利(10年国債利回り)は、日銀の追加利上げ観測やインフレ期待の高まりを背景に、引き続き上昇する可能性が高いと予測されています。
専門家の中には、今後も金融緩和の縮小やインフレ動向によって、固定金利は緩やかな上昇トレンドになる可能性があると指摘する声も増えています。
野村證券は、日銀が6月に利上げするとの予想に基づき、長期金利は6月にいったんピークを迎えると予想していますが、金利が上昇する方向への上振れリスクも指摘しています。
4. これから住宅ローンを組む人・見直しを検討している人への具体的なアドバイス
- 【誰向け?】住宅ローンを検討中の人、現在のローンの見直しを考えている人。
- 【影響度】★★★★★
- 【今すぐできる対策】自身のライフプランと金利タイプのリスク許容度を照らし合わせ、最適な選択肢を検討しましょう。
これから住宅ローンを組む人へ
金利上昇が続く局面では、慎重な住宅ローン選びがこれまで以上に重要です。
- 変動金利を選ぶ場合の注意点:現在の変動金利は依然として低い水準ですが、今後の金利上昇リスクを十分に考慮する必要があります。返済開始後も金利が1.0%前後上がることを想定して返済計画を立てるのが賢明です。
- 「5年ルール」や「125%ルール」がある金融機関を選ぶことで、急激な返済額の増加を緩和できる場合があります。ただし、これらのルールは元金の減りが遅れることにつながり、返済総額が増える可能性がある点に注意が必要です。
- 5年ルール・125%ルールを採用していない金融機関もあるため、必ず事前に確認しましょう。
- 固定金利を検討する場合:金利上昇への不安が大きい場合は、全期間固定金利のフラット35や、一定期間固定金利を選択することで、返済額を確定させ、将来の金利変動リスクを回避できます。
- 複数の金融機関を比較検討する:メガバンク、ネット銀行、地方銀行それぞれに特徴があります。金利だけでなく、事務手数料、団体信用生命保険の内容、繰り上げ返済の手数料、店舗での相談体制なども含めて比較検討しましょう。
- ライフプランを考慮する:金利の将来予測だけでなく、住宅価格の動向、自身のライフプラン(出産、教育費など)も総合的に判断し、無理のない返済計画を立てることが重要です。
住宅ローンの見直しを検討している人へ
すでに住宅ローンを借り入れている人も、金利上昇に備えた見直しを検討する良い機会です。
- 現在のローン条件を正確に確認する:まずは「現在の適用金利」「残高」「残期間」「金利見直しタイミング」「5年ルール・125%ルールの有無」などを、返済予定表やマイページで確認しましょう。
- 金利上昇時の返済額シミュレーション:現在の金利から0.25%や0.5%など、金利が上昇した場合の毎月の返済額をシミュレーションし、家計への影響を把握しておきましょう。
- 借り換えや金利タイプ変更の検討:
- 変動金利から固定金利への借り換え・変更:今後の金利上昇が不安であれば、固定金利への借り換えや、同じ銀行内での金利タイプ変更も選択肢になります。手数料や諸費用も含めて総額で比較検討しましょう。
- 固定金利から変動金利への借り換え・変更:固定金利の期間が終了するタイミングで、その時点での市場金利や自身の状況に合わせて変動金利への借り換えを検討することも可能です。
- 繰り上げ返済の検討:余裕資金がある場合は、繰り上げ返済も有効な手段です。特に金利が上昇している状況では、繰り上げ返済による利息軽減効果が大きくなります。ただし、手元資金の確保も重要です。
住宅ローンは数十年にわたる長い付き合いとなるため、目先の金利だけでなく、長期的な視点と自身の家計状況に合わせた選択が何よりも大切です。