2026年7月現在、日本の住宅ローン金利市場は、日本銀行の金融政策転換により「金利のある世界」へと本格的に移行しています。日銀は2026年6月に政策金利を1.00%(1995年以来約31年ぶりの高水準)に引き上げました。これを受け、変動金利は一部ネット銀行で7月から上昇に転じ、他の金融機関も11月までに0.25%程度引き上げる見通しです。一方で、固定金利は長期金利の急上昇が一服し、7月は横ばいまたは引き下げの動きが見られました。しかし、長期金利は一時2.880%と約30年ぶりの高水準を記録しており、今後の上昇圧力は依然として強い状況です。変動金利と固定金利の金利差は依然として大きく、住宅ローンを検討中の方には、金利タイプ選択のリスクとメリットを慎重に見極めることがこれまで以上に重要となります。
1. 主要銀行(ネット銀行、メガバンク、地方銀行など)の最新金利(変動・固定)の比較・特徴
- 【誰向け?】これから住宅ローンを組む予定の方、現在の金利水準を把握したい方
- 【影響度】★★★★★
- 【今すぐできる対策】複数の金融機関の最新金利情報を比較し、ご自身の条件で仮審査を受けてみることを検討しましょう。
2026年7月時点における日本の主要金融機関の住宅ローン金利は、日銀の金融政策変更を受け、変動金利と固定金利で異なる動きを見せています。特に、変動金利は一部ネット銀行で7月から引き上げが始まりましたが、メガバンクでは据え置かれているケースが多く見られます。固定金利は、これまでの急上昇から一服し、7月は引き下げまたは据え置かれる銀行が多い状況です。以下に主要な金利情報と特徴をまとめます。
変動金利
変動金利は、短期プライムレート(短プラ)に連動し、半年ごとに金利が見直されるのが一般的です。2026年6月の日銀による政策金利引き上げ(0.75%から1.00%へ)を受け、一部の銀行ではすでに7月から変動金利が上昇しています。
- 主な金利水準(優遇後実行金利)
- SBI新生銀行(パワースマート住宅ローン・全疾病保障):年0.990% SBI新生銀行公式サイト
- 住信SBIネット銀行(対面相談コース/通期引下げプラン/自己資金20%以上・3大疾病保障50%):年0.950% 住信SBIネット銀行公式サイト
- りそな銀行(一般団信):年0.950% りそな銀行公式サイト
- 三菱UFJ銀行:年0.945%(先月より据え置き) 三菱UFJ銀行公式サイト
- みずほ銀行:年1.025%(先月より据え置き) みずほ銀行公式サイト
- 三井住友銀行:年1.275%(先月より据え置き) 三井住友銀行公式サイト
- PayPay銀行:年1.33%(上昇) PayPay銀行公式サイト
- 特徴:
- ネット銀行は比較的低金利を提供する傾向がありますが、一部ではすでに7月から金利引き上げが行われています。
- メガバンクの変動金利は7月は据え置かれている銀行が多いものの、日銀の利上げを反映し、今年の11月までには順次引き上げられる見込みです。
- 店頭金利はおおむね年2%台半ばで、各種優遇後の実行金利は年0%台後半から1%前後が多い状況です。
固定金利
固定金利は、長期金利(主に10年物国債利回り)に連動します。2026年5月から6月にかけて長期金利が急上昇した影響で、6月の固定金利は跳ね上がりましたが、6月後半に上昇が一服したことで、7月は引き下げや据え置いた銀行が多くなっています。
- 主な金利水準(10年固定、優遇後実行金利)
- 三菱UFJ銀行:3.35%(先月より引き上げ) 三菱UFJ銀行公式サイト
- 三井住友銀行:3.50%(先月より据え置き) 三井住友銀行公式サイト
- みずほ銀行:3.20%(先月より引き下げ) みずほ銀行公式サイト
- りそな銀行:3.615%(先月より引き下げ) りそな銀行公式サイト
- フラット35(全期間固定金利)
- 2026年7月のフラット35金利は3.14%と、6月から0.07%引き下げられ、今年に入って初の下降となりました(融資率90%以下の場合)。フラット35公式サイト
- 特徴:
- 金利の変動リスクがなく、返済計画が立てやすいのが最大の特徴です。
- 全期間固定金利は、店頭金利がおおむね年1%台後半から2%台前半の水準が中心となりつつあり、フラット35は3%台に突入しています。
- 一部の銀行では、7月に固定金利を据え置くか、引き下げる動きが見られました。
2. 現在の金利市場のトレンド(日銀の動向、債券市場の影響など)
- 【誰向け?】住宅ローン金利の背景を理解し、今後の動向を予測したい方
- 【影響度】★★★★★
- 【今すぐできる対策】日銀の金融政策決定会合の発表や、政府の経済政策に関するニュースを定期的にチェックしましょう。
現在の日本の金利市場は、日本銀行の金融政策の正常化と、それに伴う債券市場の動きが大きく影響しています。
日銀の金融政策動向
日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除して以降、段階的に政策金利の引き上げを進めています。2026年6月16日の金融政策決定会合では、政策金利を0.75%から1.00%へとさらに0.25%引き上げることを決定しました。これは1995年以来、約31年ぶりの高水準となります。
- 決定の背景:「賃金上昇と物価の好循環」が想定どおり進んでいること、2025年度のインフレ率が日銀目標の年2%を大きく超えて推移したことが、今回の判断を後押ししました。IMF(国際通貨基金)も、日本は年2%の物価上昇を持続できる可能性が高いと明言しています。
- 今後の見通し:市場では「年内の再利上げ」を予想する声も多く、次の利上げ時期を2026年12月と見ており、年内に政策金利が1.25%に到達する可能性も残されています。
債券市場の影響
日銀の金融政策変更と世界的な物価高(インフレ)が、日本の債券市場に大きな影響を与えています。
- 長期金利の急上昇:日本の長期金利の指標となる「10年物国債」の利回りが、2026年7月9日には一時2.880%まで上昇し、これは1996年秋以来、約30年ぶりの高水準を記録しました。
- 上昇の背景:
- 中東情勢の緊迫による原油高など、世界的な物価高(インフレ)の長期化への警戒感。
- 政府の積極財政方針などから、「国の借金が増えすぎて国債の価値が落ちるのではないか」という不安が市場に広がり、国債の売りが加速したこと。
- 日銀の物価上昇への対応が後手に回るのではないかという見方。
- 住宅ローンへの影響:長期金利は固定金利型の住宅ローンに直接影響するため、新規で固定金利を借り入れる方や、固定期間が終了する方は資金計画の見直しが重要となります。
3. 【今後の予測】今後金利はどのように推移するか(変動・固定それぞれの見通し)
- 【誰向け?】住宅ローンを組むタイミングや金利タイプを検討している方
- 【影響度】★★★★★
- 【今すぐできる対策】将来の金利上昇シナリオを複数想定し、ご自身の家計でどこまで対応可能かシミュレーションしておきましょう。
日銀の金融政策正常化と賃金・物価の好循環を背景に、「金利のある世界」が本格化する中で、今後の住宅ローン金利は上昇傾向が続くと予想されます。
変動金利の見通し
- 緩やかな上昇が継続:日銀の政策金利引き上げを受け、PayPay銀行や楽天銀行など一部のネット銀行はすでに7月から変動金利を引き上げました。他の主要銀行も、今年の11月までには日銀の利上げを反映し、順次0.25%程度の金利を引き上げていく見込みです。
- 返済額への影響時期:多くの銀行では、金利見直し時期のサイクルから、実際の毎月返済額に影響が出るのは2027年1月以降とされています。
- 中長期的な予測:一部の専門家は、日銀が利上げを続ければ、変動金利が今年の夏頃には1.5%前後、2年後の2028年には2%台に上昇する可能性も指摘しています。
- 固定金利との差:変動金利が上昇するとはいえ、固定金利との金利差は依然として大きく、当面は変動金利の優位性が続く可能性が高いと見られています。
固定金利の見通し
- 長期金利動向に連動:固定金利は長期金利(10年物国債利回り)に連動するため、日銀の金融政策やインフレ見通し、政府の財政政策によって変動します。
- 一時的な落ち着きから再上昇へ:2026年7月は、長期金利の急上昇が一服したことで、固定金利は一部で引き下げられましたが、日本の財政悪化への懸念や日銀の追加利上げ観測が続く限り、今後も上昇圧力は高いと予測されます。
- フラット35の動向:フラット35も長期金利の動向に左右され、金利の上昇傾向は継続すると考えられます。審査基準が比較的緩やかであるため、金利の安定性を重視する方には引き続き有力な選択肢となるでしょう。
4. これから住宅ローンを組む人・見直しを検討している人への具体的なアドバイス
- 【誰向け?】これから住宅ローン契約を検討している方、既存の住宅ローンの借り換えや見直しを考えている方
- 【影響度】★★★★★
- 【今すぐできる対策】ご自身のライフプランと家計の状況を整理し、金利上昇リスクに対する許容度を明確にしましょう。
「金利のある世界」への移行が鮮明になる中、住宅ローンの選択は、これまで以上に慎重な判断が求められます。ご自身のライフプランとリスク許容度に基づいた、賢い選択をするための具体的なアドバイスをいたします。
これから住宅ローンを組む人へのアドバイス
住宅ローンは数十年にわたる大きな借入です。目先の金利の低さだけでなく、将来の金利変動リスクを十分に考慮することが重要です。
- 金利タイプ選び:家計のリスク許容度を把握する
- 変動金利が向いている方:
- 金利が上昇しても、繰り上げ返済などで柔軟に対応できる資金的な余裕がある方。
- 共働きで世帯収入に余裕があり、金利上昇リスクを許容できる方。
- 比較的短期間で完済する予定がある方。
- ただし、変動金利には「5年ルール(5年間は返済額が変わらない)」や「125%ルール(返済額が急に上がっても従来の1.25倍まで)」といった急激な返済額増加を抑える仕組みがある金融機関もありますので、契約内容を確認しましょう。
- 固定金利(フラット35含む)が向いている方:
- 将来の金利上昇に対する不安を抱きたくない方、返済額を一定に保ちたい方。
- 子どもの教育費など、将来の大きな出費が見込まれ、家計管理を安定させたい方。
- 借入額が大きく、長期的な返済の安定を重視する方。
- 変動金利が向いている方:
- 複数の金融機関を比較検討する:
- メガバンク、ネット銀行、地方銀行など、複数の金融機関の金利、保証内容(団体信用生命保険など)、手数料を比較しましょう。
- 特に、事前審査を2~3行で並行して行い、実際に提示される融資条件(優遇金利の幅や団信の内容)を具体的に比較することが有効です。
- 返済シミュレーションを徹底する:
- 現在の金利だけでなく、変動金利が0.5%や1%上昇した場合など、複数の金利上昇シナリオで毎月の返済額や総返済額がどう変わるかをシミュレーションしましょう。
- 金利が0.5%変わるだけで、総返済額には数百万円の差が生じる可能性があります。
住宅ローンの見直しを検討している人へのアドバイス
既存の住宅ローンの契約内容や市場金利の動向を踏まえ、最適な見直し時期や方法を検討しましょう。
- 変動金利利用者:
- 日銀の金融政策決定会合の発表には特に注意を払い、ご自身の利用している金融機関の金利見直し時期(一般的に年2回)と、返済額がいつから変わる可能性があるのかを確認しましょう。
- 返済額の急変を抑える「5年ルール」「125%ルール」が適用されるかどうかを確認し、もし適用外であれば金利上昇時の備えを強化する必要があります。
- 金利が上昇してきた場合に、固定金利への借り換えを検討する方もいますが、変動金利が本格的に上昇する局面では、固定金利もさらに高い水準になっている可能性が高いことを認識しておきましょう。
- 固定期間選択型利用者:
- 固定期間の終了が近づいている場合は、金利情勢を考慮し、再度固定金利を選択するか、変動金利に切り替えるかを慎重に検討しましょう。
- 金利プラン変更が可能な金融機関もありますので、事前に確認しておくと安心です。
- 借り換えの検討:
- 現在の金利が、他の金融機関の新規借り入れ金利よりも大幅に高い場合は、借り換えによって総返済額を減らせる可能性があります。
- 借り換えには手数料もかかりますので、金利差と諸費用を総合的に判断し、シミュレーションを行いましょう。
- 繰り上げ返済の活用:
- 金利上昇局面においては、繰り上げ返済によって元金を減らし、将来の利息負担を軽減することは有効な対策の一つです。
- 特に変動金利を利用している方は、金利上昇に備えて手元資金を確保しつつ、計画的な繰り上げ返済を検討しましょう。